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zoom RSS 昭和30年代の赤字ローカル線問題

<<   作成日時 : 2017/05/28 23:05  

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岩日線とは?
古い資料を参照していますと、岩日線(現・錦川鉄道錦川清流線)開業の記事に関して、国鉄の部内誌で何故こんなローカル線を建設するのだと本社営業局総務課長吉田氏の「世にも不思議な岩日線」と題する一文が掲載されていました。
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岩日線は、現在、錦川鉄道として存続する区間と、錦川から日原駅までを結ぶ予定であった、岩日北線に分けることが出来ます。

岩日北線は、1967年11月19日から鉄道建設公団のAB線として建設が進められ錦町から六日市までの区間は大半の路盤が完成していたと言いますが、国鉄再建法の関係で他のローカル線同様建設中止になってしまいました。

なお、現在の錦川鉄道の区間は、昭和35年11月1日に川西 - 森ヶ原信号場 - 河山間 (27.9km) が開業、更に3年後に、河山 - 錦町間 (4.8km) が延伸開業、その後国鉄改革の一環で第2次特定地方交通線として廃止対象となり、地元は第3セクター鉄道の道を選択、昭和62年7月25日に錦川鉄道として再出発することになったというのが、概略です。

国鉄のローカル線建設を批判

さて、ここからが本題なのですが。

この岩日線の開業について明らかに必要なのかと、国鉄本社の総務課長が明確に反旗を翻しているのです。
国鉄本社の課長と言えば公務員の総合職(昔の1種)と同等であり超エリートであるわけです、当時の国鉄部内向け雑誌国鉄線、昭和35年12月号に掲載されたのです。

国鉄線 昭和35年12月号 世にも不思議な岩日線
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それによりますと、沿線人口も少なく、主たる産業も無い。
若干の鉱石輸送があるが、既に25億円の資本が投下されている。(今の価格では300億円近く)にもかかわらず、利子の支払いや減価償却費、固定資産税などで約3億円毎年円近くを損する勘定となることに対して疑問を持っています。

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この路線は昭和28年に着工された建設線であるが昭和34年秋頃から工事が進捗して昭和35年には開業したと書かれています。
そして、この岩日線開業前に走っていた国鉄バス(岩日線)は歴史も古く中国縦貫路線として由緒あるものであったそうです。
さらに、課長としては現在の国鉄で開業が予定されている建設中の赤字ローカル線が25線建設中であり、予定線がその後に11線控えているということで、建設予算だけで1730億、赤字の見込みが150億ということで到底回収できない赤字ローカル線を抱えていると言われていました。
そしてその原因は国鉄にあるのではなく、国会議員の圧力であると言っているのです。
その辺は、政治評論家 御手洗 辰雄氏が、「昔の軍人、今の議員、ムリとアホウの双璧と言っては言いすぎであろうか」と書いた内容を引用しながら書かれていますが、実際に当時の国鉄では、ローカル線の建設以上に滞貨の解消や輸送力増強(複線化や動力近代化を含む)さらには老朽資産の取り替え等もあり、儲からない赤字ローカル線の建設は極力したくないというのが本音でした。
それでも、鉄道敷設法という明治に作られた法律が生きている以上、その建設圧力は強まる訳でした。
鉄道を引けば3世代まで安泰と言われたほどの利権ですから、当時の国会議員にしてみれば必死になったものと思われます

ローカル線建設も国鉄の重要な要素

そうした中で、敢えてこのように公職の立場でありながら明確に政治意図で開通したローカル線について明確に反論されたのはかなり勇気が行ったと思います。
しかし、こうした動きが有ったからか、その後は輸送力増強や新幹線建設などに資金を投下する必要があることから、新幹線建設にかかる予算はその後減って行くこととなりました。
それに対して、難色を示したのが田中角栄(後の田中首相)であり、結果的に国鉄の意向とは別にローカル線を建設できる仕組み、鉄建公団(現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に繋がっていくのです。

この辺は今後もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

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